包丁製作体験
包丁作りたい!ということで包丁を作ってきました。
お邪魔したのは千葉県柏市にある五香刃物製作所さん。
鋼材を切り出すところから始めて作業時間はトータルで5時間弱くらい。
ミスると包丁の品質に著しく影響する一部の作業を除いて多くの工程を体験できるというもの。
まずは鋼材の板を切り出すところからスタート。
包丁の形をしているのは型で、その下の銀色の板にマジックで印をつけ、まずは電ノコで切り出します。
結構派手に火花が飛び散るけど見た目ほど熱くないので臆せずに。
電ノコで包丁の顎の部分に切れ込みを入れたら、その後は鋼材に鏨(たがね)をあてがい、そこへ鎚を打ち込んで切り出していきます。
鎚はそれなりに重いので力強く打ち込みたいけれど狙いを定めるために大きく振りかぶれないような、思っているよりも難しい作業。
鋼材から包丁の形に切り出しが終わったら持ち手部分に穴を開けた後、切断面のバリ(?)をとっていく工程。
職人さんは何食わぬ顔でこなしていたけど、油断していると包丁がもっていかれそうになるので結構力がいる作業。
円の接線に対して垂直に包丁をあてがうことが肝要らしいのでそれも気にしながらなので意外と難しい。
この次は銘入れ。
小さな鏨を鎚で打ち、鋼の表面に文字を刻み込んでいく作業。
鋼材に対して鏨を垂直にあてがえば線が、傾ければ点が刻まれ、その点と線で文字を表現するのだけど、本当に微妙な調整が必要で全く思い通りに文字が刻めなくて不安しかありませんでした。
30分弱くらい練習の時間があったと思うけど、それじゃ全然時間が足りない。
職人さん曰く「修正するんで大丈夫です。大船に乗ったつもりでやってください。」とのことでしたが、本当にいい感じに仕上げてくださったので職人さんすごいとなりました。
素人がやると彫りが浅く、結局その後の工程で文字が全部消えてしまうため、深く刻み込むという意味でも修正は必要なのだそう。
銘入れが終わったらいよいよ焼入れ。
「刃物を作る」といったらこれ、というようなイメージの、炉の中で鋼材を熱する工程。
まずは鋼材を保護するための泥を塗ります。
炉の温度は800度~1000度とのこと。
焼入れでは鋼材を800度~850度くらいまで熱することで鋼を硬くさせるのだそう。
温度が重要なので部屋を真っ暗にして、目視で赤熱した包丁を見ながら微調整。
真っ赤になってる!くらいにしか思わなかったけど微妙な色の具合で温度を判断しているらしく、まさに職人技といった感じ。
この工程で包丁の良し悪しが決まると言っても過言ではないらしく、高級な材料(白紙1号とか)かどうかよりもこの工程が理想的にこなせたかどうかのほうが重要といってもいいくらいらしい。
焼入れが終わったら焼戻し。
焼入れを行うと鋼が硬くなるものの、ガラスのように脆くもなってしまうので、再び加熱することで粘りを出し壊れにくい状態にすることができるそうです。
このあとは包丁の歪を鏨で叩いて修正し、表面の凹凸を削っていく工程です。
ここは仕上がりに直結する重要な工程ということでほぼほぼ見学するだけ。
この次は表面を磨いていく工程です。
ここまで来るとかなり包丁らしい見た目に。
写真のベルトサンダー以外でも同じように表面を磨く作業を職人さんがやってくれました。
続いては柄を取り付ける作業。
木材に穴を開けてビスでとめ、ベルトサンダーで持ち手の角を面取りしていきます。
最後に研磨して刃をつけて完成。
切れ味の悪くなった包丁を研ぐのとは違い、全く刃のついていない状態から刃をつけるために研ぐ作業は素人がやるには大変とのことでここも職人さんがやってくれました。
試し切りでトマトを切ってみましたが、適当に研ぎながら使っていた包丁とは比にならないくらい切れ味抜群でした。
まな板の上においたトマトを、手を添えたり固定していない状態で薄くスライスできるのがすごい。
スイスイ切れる pic.twitter.com/LgzTvMfNJM
— じーえむ (@gm0753) 2020年1月12日
「水につけておくと5分で錆びます」とのことなので手入れには少し気をつけたいところ。
ちゃんと手入れして使っていれば10年、20年と平気で使えるものとのことなので大事に使っていきたいと思います。